今年の4月からリフィル処方がスタートしましたけど、分割調剤とどう違うんですか?
いい質問ですね!
どちらも1回の処方で複数回薬をもらえるという点では同じだけど、全く別の制度なんです。
そうなんですね?
今まで分割調剤というものを経験したことがなくて・・・
そうですね・・・
分割調剤はなかなか浸透していないというのが実際ですね
ではそれぞれ、もう少し掘り下げてみましょう
分割調剤とは
日本では2004年から導入されている制度です。形を変えつつ2016年から今の形になっていますが、ほとんど利用されていないのが実際です。
イメージとして、言葉通りにはなりますが、1つの処方せんの薬を何回かに分割して、もらうという感じです。
例)
90日分の処方→30日分×3回にわける
分割調剤をするのは次の3つのパターンがあります。
医師の指示による分割調剤の目的は残薬問題、ポリファーマシーの解消と言われています。
今も医療の問題としてありますが、分割調剤以外の方法でそれらの問題に取り組んでいます。
分割調剤があまり浸透しない理由
1つは分割調剤をするケースが多くないということでしょうか。
地域がらもあるでしょうが、「分割調剤の指示」を見たことがありません。大きな病院みたいに長期処方が多いところでは必要な場合もあるかもしれませんが、街のクリニックではそこまで処方日数がながくないし、コントロールできるので分割する理由がありません。
「長期保存が困難な薬を長期間処方」されるケースも、まぁありません。(吸湿性の問題で一包化ができない薬でも、どうしても一包化するケースくらい?)
「ジェネリック医薬品のお試し」としては、不安のある患者にとってはありがたいかもしれません。しかし、昨今、ほとんど分割しないでも、ジェネリック医薬品に変更するケースがほとんどです。患者側としても、また取りに来るのはなかなか手間と感じるのでしょうか。
2つめに、薬局での業務が増える割に、利益がほぼないということです。
調剤にかかる報酬も分割されてしまいます。でしたら、よほどの理由がなければ1度に渡してしまった方が、薬局側も患者側も楽・・・ということになってしまいます。
途中で患者の情報を処方医に情報提供することで、報酬を得ることはできますが、手間と比較したときにわざわざやるような大きな額ではないのです。
簡単に言うと医師にとっても薬局にとっても、患者にとっても手間が大きいってことですね
リフィル処方とは
リフィル処方は2022年度から導入された制度です。
海外では既に導入されている国も多いですが、国によって運用は異なるみたいです。
イメージとしては1つの処方せんを繰り返し使う感じです。
例)
30日分の処方×3回→90日分
分割調剤とリフィル処方との違い
分割処方とリフィル処方とは目的が異なります。
長期処方に対して、心配な点があるので途中でチェックする分割調剤と、通常の処方に対して、問題な点がないので、延長するリフィル処方というイメージです。
どちらも何か問題があれば、医師に情報をフィードバックし、患者は受診する必要はあります。
また薬局側としては、お薬代の計算も分割される分割調剤に対して、リフィル処方を受け付ける度に、新たに処方せんを受け付けたとしての計算になるので、利益的には分割処方よりはあります。(リフィル処方でなかったとしても同様に処方が出るのであれば、医療費という意味では増えてはいない)
反対に、病院側としては受診が減ってしまうので利益が減ってしまう可能性があります。
リフィル処方への期待
状態が安定している患者は病院の受診はなしで、薬局で薬をもらえるようになれば、医師は他の業務に集中することができるようになります。
お薬再診(もともとホントはダメですが・・・)が減れば医療費削減につながります。
患者としても毎回病院に行かなくても済むようになれば、負担はだいぶ変わってきます。
薬局側としては今まで以上に患者の様子を確認しなければなりませんし、必要に応じて医師との連携をとらなくてはなりません。
医師がリフィル処方を発行しなければ広まりませんし、医師が薬剤師を信頼できるようにならなければなりません。
リフィル処方を上手に運用していくには医師の理解と、薬局の全体的なレベルアップと、患者側にも正しい理解が必要なことでしょう。
お薬を取り巻く環境が変わっていくキッカケなるのかもしれません。
それだけの可能性はあると思います。
日本でのリフィル処方は始まったばかりの制度です。まだ制限は多いですが、日本にあった制度になじみつつ、浸透していけばいいのかなと思います。