最近、普段飲んでる薬がしょっちゅうメーカーが変わるって言われるんだけど、慣れてる薬がいいなぁ。
私もいつも飲んでる薬がないって言われて、別の薬に変わったわ。
ここ数年、薬の流通が非常に不安定になっています。
先発、ジェネリック問わず、薬を確保するのが精一杯になっています。
なんでそんなことになってるのかな?
様々な理由が絡み合って今の状況になっていますが、始まりは製薬メーカーの不祥事からでしょうか・・・
GEメーカーの不祥事
始まりは小林化工の異物混入事件ではないでしょうか。
水虫治療薬に睡眠薬が混入するといった前代未聞の事件です。
大手ではないにしろ、それなりにシェアがあったメーカーなだけに、衝撃は大きかったです。
そこで、都道府県の査察が強化され、さらに各メーカーの自主点検が行われることになります。
すると大手の日医工をはじめ、複数のメーカーで製造工程の問題が発覚しました。
ニュースにもなっていたので、一時期ジェネリックはやめてくれという患者も複数いました。
今まで使ってたメーカーがこの問題を受けて回収となったことで、その代わりを用意しなければならなくなります。
すると、他の製薬メーカーでも需要と供給のバランスが崩れてきます。
結果、日医工は事業再生ADRを申請し、事実上の倒産になりました。
コロナの影響
日本で販売されている薬も、海外で作られていたり、作るのは日本でも、海外から原料を輸入して作ってたりします。
地域によって新型コロナウイルス感染症の流行しているところでは工場の稼働が止まったり、輸出ができなかったりします。
Aの地域から入ってこなくてもBから入ってくればいいような、変わりがきくものもありますが、1か所に依存しているものであれば、影響は大きいです。
物流センターの火事
2021年には医薬品が備蓄されている物流センターの火事がおきました。
供給自体がなくなるわけではないのですが、市場に出るはずだった薬がなくなったわけですので、当然薬は足りなくなってしまいます。
再び市場に出回るのが数カ月かかってしまいます。
その他
最近では、コロナ感染者の急増により、その治療に使うような咳止め、抗炎症薬や解熱鎮痛薬などの薬は品薄状態になっています。
需要と供給のバランスの問題ですね・・・
過去にもインフルエンザが非常に流行った時にはタミフルドライシロップが不足したこともあったなぁ
いろいろな出来事が絡み合って、慢性的な医薬品の供給不安定問題が起きているのです。
今後の見通し
薬がたりないならたくさん作ればいいんじゃないのかな?
たしかにそう考えるのが自然かと思います。
しかし、薬の製造は命に関わるものだけあって、審査が厳しいのです。
工場のラインを増やしたりすることもできるのですが、審査が通るのに時間がかかります。
申請を通して、工場のラインを増やるのには1年以上かかると言われています
時間もお金もかかり、流通回復後には採算がとれなくなるリスクを考慮すると、大きくない製薬メーカーは、生産をなかなか増やせないのがつらいところなのでしょう。
そんな状況にもかかわらず、2022年の調剤報酬改定ではジェネリック医薬品の使用をさらに促すような方向で舵がとられ、薬価(薬そのものの値段)も下げられています。
供給の不安定なところは考慮されていますが、ジェネリック医薬品を確保すること自体が大変な状況はまだまだ続きそうです。
そして、規模が小さいジェネリック医薬品メーカーはだんだんなくなっていくかもしれません。