認知症の患者ってどんどん増えているって知っていますか?
なんとなく想像できます。
高齢化社会も原因の1つですよね?
そうですね。65歳以上の5人に1人は認知症になると言われています。
認知症の方とどうやって関わっていくのかも社会問題の1つですね。
薬局ではどうやって関わっていけるんですか?
薬の説明を通して関わっていくこともあるし、ずっと通ってくれている患者さんには変化を気付いてあげることで早期発見につながることもあるんだよ。
薬局で認知症患者との関わり方
薬局で認知症患者と関わるといって思い浮かぶのは、既に認知症と診断されて薬が処方されている方への対応でしょうか。
現在、認知症の薬として使われているのは、アリセプト🄬(成分名:ドネペジル塩酸塩)、レミニール🄬(成分名:ガランタミン臭化水素酸塩)、エクセロンパッチ🄬、リバスタッチパッチ🄬、メマリー🄬(成分名:メマンチン塩酸塩)とあります。さらに認知症からの症状に対しての薬もいくつかあります。
商品名 | 成分名 | 剤形 | 効果効能 |
---|---|---|---|
アリセプト | ドネペジル塩酸塩 | 錠剤、OD錠、細粒、ドライシロップ、ゼリー | アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制 |
レミニール | ガランタミン臭化水素塩 | 錠剤、OD錠、内用液 | 軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 |
エクセロン、リバスタッチ | リバスチグミン | パッチ | 軽度、中程度のアルツハイマー型認知症の認知症症状の進行抑制 |
メマリー | メマンチン塩酸塩 | 錠剤、OD錠 | 中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 |
薬剤師ならではとしては、それらの薬の特徴を知っておく必要があり、その患者にあった剤形を提案する必要があるでしょう。
一番基本的なこととしては、効果がすぐにはわかりにくい点などからドロップアウトする症例が少なくないので、継続する意義の説明や管理が最重要になってきます。
必要に応じて在宅(居宅管理指導)の提案も必要かもしれませんね。
服薬指導などのときの対応
認知症の薬が処方されている患者は、医師からも認知症と診断されているわけで、先に述べたように薬を継続することが重要になってきます。
認知症だとしても、全く理解できていないわけではありません。なので、家族と一緒に来局された場合でも、家族とばかり話して、本人の相手をしないと疎外感を与えてしまうかもしれません。
本人にも目線を送ったり、話しを振りつつ、家族や付き添いの方の対応をするといいでしょう
理解できていないかもしれないといって、認知症患者のいうことを否定的に返答してはいけません。仮に間違ったことを言っていても一度受け入れてから対応します。
認知症に限らず、耳が遠くなってきてる方に言えることですが、どうしても聞こえが悪いと大きな声になったりしがちですが、ゆっくり、口を動かして話せば伝わることがあります。
あまり伝わらないと、こちらの表情も無意識にこわばってしまいがちですが、言ってることは伝わっていなくても、こちらの感情は伝わっています。なるべく余裕をもって接しましょう。
理解力は低下しても、感情は残ってることは意識しておきましょう!
まだ認知症ではないけど、疑わしい人
認知症ではないけど、その前の状態をMCI(軽度認知障害)といいます。
同じ薬局を継続して利用していると長い付き合いになってくることもあります。その中で様子の変化に気が付けることがあります。
MCIの場合、早く気が付き、適切に対応することで進行を遅らせることができます。進行を遅らせることができることで、今までの生活が継続維持ができる大きなメリットになります。
薬が大量に余ってる、飲めてない場合
認知症でなくても薬を飲めていない方はいますし、自己申告しない場合も少なくないので判断は難しいですが、大量に薬が余っている場合は認知症を疑います。
家族からの相談で発覚することもあります。
お金の管理ができない、お札で支払う
会計が適切にできるかどうかも1つのポイントです。
小銭で支払いができるのに、お札で支払う場合はかなり危ないです。バスなどに小銭を使いたいなど理由がある場合はいいのですが、お金の計算ができなくて(面倒で)お札で支払うことが増えてしまっている場合は要注意です。
最近のニュースがわからない
認知障害がある場合、昔の記憶はつい昨日のように覚えていますが、逆につい最近の記憶は忘れてしまうことがあります。
興味の問題で知っている、知らないはあるかもしれませんが、誰でも知っているようなトレンド、ニュースを知らないと怪しいかもしれません。
「最近、何か気になったニュースはありますか?」
と聞いてみるといいでしょう。
また、消費税率の話をしてみるとわかりやすいかもしれません。
今の税率と異なる返答の場合はかなり怪しいでしょう。
【参考】消費税率の変化
1989年4月~ 3%
1997年4月~ 5%
2014年4月~ 8%
2019年10月~ 10%
身だしなみや表情
ある程度、長い付き合いでないとわかりにくいところではありますが、認知症になると、徐々に表情は乏しくなってくる傾向があります。
薬局で認知症、もしくはMCIを疑ったら・・・
家族がそのことを認識しているかどうかでも対応が変わってきますが、今回は認識していない場合で考えていきます。
かかりつけ医があればそちらに連絡をして情報を共有します。そうでない場合は地域包括支援センターへ連絡して情報を共有します。
もしその患者の家族とも関わりがあるようならば家族に相談するのも1つでしょう。
薬局で認知症を疑ったら医師や行政などにつなげるのが薬局の役目です。
可能であれば長谷川式認知症スケールを実施できれば客観的にどのくらいのスコアか把握でき、よりわかりやすく情報提供できるでしょう。
長谷川式認知症スケールは特別な道具が必要なわけではないので、薬局でも行うことができます。
認知症と疑ったときの家族の対応
ひとことに認知症といってもいろんなタイプがあり、原因によって治るものもあります。
また加齢による物忘れかもしれません。
まず、かかりつけ医または物忘れ外来などで相談してみましょう。
MRI検査、CT検査や血液検査などで診断します。
介護申請をする
介護保険を使えるように申請しておくとよいでしょう。
実はなかなかすぐには使えないケースがあります。
お住いの市区町村の役所に相談しておきましょう。
環境整備
認知症の方は、あまり生活環境を変えない方がいいと言われています。なるべく住み慣れたところで過ごせるように環境を整えていく必要があります。
同居の場合でも、そうでない場合でも見守りできる手段があると安心できるでしょう。
認知症サポーターになる
認知症サポーターは認知症サポーター養成講座を受けることでなることができます。
認知症に対して正しい知識と理解を得て、地域で認知症やその家族に対して、できる範囲で手助けすることが目的です。
徘徊など地域全体で対応するためには知識があるひとがたくさん必要です。
これは医療従事者や介護関係者でなくても、どなたでもなることができます。
つまり受講資格は特にありません。実際に郵便局やコンビニなどで認知症サポーターがいる事業所があるようです。
お金が関わるところで詐欺を未然に防ぐことができるかもしれませんね
認知症サポーター養成講座を修了するとその証としてオレンジリングをもらうことができます。
また認知症サポーター養成講座を修了した薬剤師がいる薬局には、わかるように貼ってあるところがあります。
認知症に理解がある人という1つの目安になるでしょう。
気になることがあればドンドン相談してみましょう!!