よくジェネリックはどうですか?って聞かれるけど、よくわからないけど、安くなるでしょ?
この前、ジェネリック医薬品にしませんか?って手紙が届いてたな~
そうですね。病院や薬局で払うお薬代が安くなります
保険者からジェネリック医薬品のススメの手紙が届くこともありますね
でも効き目は同じなの?
お医者さんが出してくれたお薬のまま欲しいわ
なるほど
では、今日はジェネリック医薬品についてお話していきましょう
ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品とは後発医薬品とも言います。それに対しては先発品、先発医薬品と言います。
ジェネリック医薬品とは新薬(先発医薬品)の特許が切れたあとで、製造販売される薬です。
先発医薬品と同じ有効成分で同じ量でできています。
名前の由来
ジェネリック医薬品
欧米ではお薬は商品名ではなく、一般名(generic name)が使われることが多く、そこから日本でも広まったと言われています。
後発医薬品
新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に発売されるから、先発に対して後発医薬品のいいます。
由来や言い方は違いますが、どちらも同じ意味と思って大丈夫です
なぜジェネリック医薬品は安くなるのか?
新薬は開発に10年以上の長い年月と数百億円以上のお金がかかります。ゼロの状態から成分を見つけて、効果があることを確認して、安全であることを確認してと長い過程がのもと1つの薬が生まれます。
それに対して、ジェネリック医薬品は成分はもう発見されているものを、同じように作れればいいわけなので、新薬を創るよりは、はるかに簡単で費用が節約できるわけです。
研究開発費が少なくて済むというのが安くなるという大きな理由です。
開発費は新薬が数百億といわれているのに対して、ジェネリック医薬品は1億円程度と言われています。
新薬
創薬、スクリーニング
↓
非臨床試験
↓
臨床試験
↓
発売
↓
再審査
ジェネリック医薬品
特許が切れた新薬の情報、権利を
使ってジェネリック医薬品の開発
↓
さまざまな試験、承認申請
↓
発売
ジェネリック医薬品のいいところ
先発品をもとに作っているので、似せているメーカーも多いですが、錠剤の大きさや、味などを改良して、より飲みやすいように工夫しているメーカーもあります。
- 苦みが出にくくなるように工夫されてる
- 大きい錠剤の先発医薬品を飲みやすいように小さく作られてる
- 口の中で溶けやすくなるように工夫されてる
- 他の薬と間違えないように、シートなどのデザインに工夫されてる
- 先発医薬品にない、飲みやすい剤形が作られている
安全性、効き目は大丈夫?
「医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に基づき作られています。
新薬ほど多くはないですが、さまざまな試験の上、先発医薬品と同等の効果、品質であることが確認されています。
ん~、よくわからないわね~
簡単に言うと、ちゃんと国の基準をクリアしていますよ~ってことです
溶出試験・・・薬物の溶けやすさを規定することで、ジェネリック医薬品が先発医薬品と同じ効能効果、安全性を持っているか調べる試験
生物学的同等性試験・・・先発医薬品とジェネリック医薬品をヒトの血中濃度の推移を測定して統計学に差がないことを確認する試験
主にこれらの試験を行っています。
先発品に比べて少ないですが、海外の医療先進国と同等であり、世界標準の考え方に基づいています。
先発医薬品とジェネリック医薬品が同じこと
- 有効成分
- 用法用量
先発医薬品と異なること
- 名前(ほとんどの場合、成分と同じ名前)
- 添加物
- 製造方法
- 見た目(似せているメーカーが多い)
- 値段(ジェネリック医薬品の方が安い)
先発医薬品と比べ同等でありますが、逆に言うと、全くの同じものではないです。
添加物なども含めて全く同じジェネリック医薬品、オースライズドジェネリック(AG)と言うのも増えてきています。
ジェネリック医薬品を勧めてくる理由
そんなジェネリック医薬品ですが、なぜ薬局で勧めてくるのか。
もちろん、ジェネリック医薬品にすることで医療費抑制、患者の負担を減らすという目的があります。
また薬局で働く薬剤師に関するルールでも定めれています。
保険薬剤師は処方箋に記載された医薬品に係る後発医薬品が次条に規定する厚生労働大臣の定める医薬品である場合であって、当該処方箋を発行した保険医等が後発医薬品への変更を認めているときは、患者に対して、後発医薬品に関する説明を適切に行わなければならない。この場合において、保険薬剤師は、後発医薬品を調剤するよう努めなければならない。
保険薬剤師療養担当規則より一部抜粋
つまり、ジェネリック医薬品を知らない人、誤解している人に対して、しっかり説明して、なるべくジェネリック医薬品を使ってもらおうということですね
また、それ以外にも実は理由があります。
ジェネリック医薬品を使用する割合が大きいほど、診療報酬や調剤報酬で評価されます。
どれくらいジェネリック医薬品を使用しているかで薬局の施設の評価が変わってくるので、それをクリアするため、積極的に変えていっています。
後発医薬品調剤体制加算1(後発医薬品の数量シェア75%以上)・・・15点
後発医薬品調剤体制加算2(後発医薬品の数量シェア80%以上)・・・22点
後発医薬品調剤体制加算3(後発医薬品の数量シェア85%以上)・・・28点
(2022.2月時点)
後発医薬品を使うほど、点数が高くなるのがわかりますね
薬局で勝手に変えてる?
薬局では受け付けた処方せんをもとに、患者の同意を得たうえでジェネリック医薬品に変更することができます。そして調剤報酬改定を繰り返しながら、ジェネリック医薬品に変更できる裁量が少しずつ増えてきました。
たまに誤解されている方もいますが、薬局で変更できるのはジェネリック医薬品に変えることだけで、全く別の成分の薬に変えることはできません!
また最近は、一般名処方といって、お薬の成分だけの処方が増えてきています。これはお薬の銘柄(メーカー)はどこのでもいいよっていうことです。
つまり先発品、ジェネリック医薬品を薬局で選んでねってことです。そして薬局は前述のとおり、ジェネリック医薬品を勧めている場合が多いので、可能な限りジェネリック医薬品での対応になります。
もう少し大きな視点から見て
個人の医療費もさることながら、国の医療費全体でみるともっと深刻な問題になっています。
その医療費の中でも大きな割合を占める薬剤費。これをジェネリック医薬品にすることで、医療費を抑制しようとしています。
ジェネリック医薬品のシェアをすべての都道府県において80%以上にするのを目標に、病院、薬局、保険者などが取り組んでいます。
そうはいっても
そうはいっても、やっぱり飲んでみて合わない気がする・・・といったこともあるかもしれません。
ジェネリック医薬品を選ぶかどうかは患者さん自身です。仕方のないケース(販売が中止になった、流通が不安定、在庫がない)もありますが、仕組みや流れを理解の上、意向は伝えておくといいでしょう。
初めてのジェネリック医薬品の場合はお試しするという制度もあります
一度ジェネリック医薬品にしたからといって二度と戻せないわけではないですよ
あら、それなら試してみようかしら